労働法改正に関するコラム
労働法改正に関するコラム
令和7(2025年)年6月に成立した改正男女雇用機会均等法により、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主の義務となります(令和8年10月1日施行)。企業規模を問わずすべての事業主が対象(従業員1人でも対象)です。
これにより、これまで対策の「死角」となりがちだった求職活動等の現場において、事業主に法的な防止措置が義務付けられることになります。採用担当者、労務担当者はしっかり確認しておきましょう。
求職活動等におけるセクシュアルハラスメントとは、下記のように定義されます。
事業主が雇用する労働者による性的な言動により、求職者等の求職活動等が阻害されるもの |
なお、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれます。被害を受けた者の性的指向又はジェンダーアイデンティティも問われません。
「労働者」とは、正社員のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む事業主が雇用する労働者の全てをいいます。
尚、派遣社員(派遣で受け入れている社員)については派遣元・派遣先それぞれで労働者として扱うこととなります。
「性的な言動」とは、性的な内容の発言及び性的な行動を指します。
<性的な内容の発言>
<性的な行動>
「求職活動等」とは、求職者が行う求職活動や求職者に類する者が行う職業の選択に資する活動を指します。
<求職活動等の例>
なお、いわゆる職場(事業主が雇用する労働者が通常就業している場所)で行われるものに限られず、また、SNS等のオンラインを介したものやオンライン上で行われるものも対象となります。
「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」の典型的な例として次のようなものがあります。
求職活動等におけるセクシュアルハラスメント防止のために、事業主が講ずべき措置等は下記の通りです。
求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止のために講ずべき措置(義務) |
|---|
Ⅰ 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発 |
Ⅱ 相談体制の整備 |
Ⅲ 事後の迅速かつ適切な対応 |
Ⅳ そのほか併せて講ずべき措置 |
①求職者等に対するセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する
<具体例>
②求職者等に対するセクシュアルハラスメントを行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を、労働者に周知・啓発する
<具体例>
③求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、労働者及び求職者等に周知・啓発する
<具体例>
①相談窓口をあらかじめ定め、求職者等に周知する
<具体例>
②相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにする
<具体例>
①事実関係を迅速かつ正確に確認すること
<具体例>
②求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
<具体例>
③求職活動等におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、行為者に対する措置を適正に行うこと
<具体例>
④再発防止に向けた措置を講ずること
<具体例>
①相談者・行為者等の情報はプライバシーに属するものであることから、プライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者及び求職者等に対して周知すること
<具体例>
②労働者が事実関係の確認等に協力したことや、紛争解決の援助の求め労働局に対して相談したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
<具体例>
①教育機関等との連携
②雇用する労働者以外が行為者とされる相談の対応
③求職活動等における他ハラスメントに類する行為
令和8年10月1日の施行に向けて、自社のハラスメント規程や、ハラスメント対応の方針を示した資料に求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策を盛り込みアップデートする必要があります。
また、採用活動の中で求職者等に対するハラスメントが起きないよう、必要に応じて採用活動フローの見直しや、ルールの設定・周知を行うとよいでしょう
この記事を書いた人
平成29年入社 早稲田大学卒 大学卒業後は、ブライダル関連の上場企業でサービス業に従事。その後、エスティワークスに参画。丁寧な業務遂行と持ち前のトーク力で多くのお客様の信頼を得ている。IPO(上場)審査に向けた労務デューデリジェンス (労務DD)を数多く実施、給与計算や社会保険実務にも精通した社労士として活躍中。
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