労働法改正に関するコラム

最低賃金の改定(令和7年10月1日より順次適用)

公開日:2025.10.01

更新日:2025.10.02

最低賃金の改定(令和7年10月1日より順次適用)

2025年9月5日、47都道府県すべてで最低賃金の改定額が答申されました。新しい最低賃金は2025年10月1日から2026年3月31日までの間に順次適用される予定です。
今回は改定後の最低賃金額や最低賃金のチェック方法についてご紹介いたします。

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主要都市の最低賃金

2025年10月1日以降の、主要都市の最低賃金は下記の通りです。

都道府県名答申された改定額※
引き上げ額
発効(予定)日
東京
1,226円 (1,163円)
63円
2025年10月3日
神奈川
1,225円 (1,162円)
63円
2025年10月4日
千葉
1,140円 (1,076円)
64円
2025年10月3日
埼玉
1,141円 (1,078円)
63円
2025年11月1日
愛知
1,140円 (1,077円)
63円
2025年10月18日
大阪
1,177円 (1,114円)
63円
2025年10月16日
広島
1,085円 (1,020円)
65円
2025年11月1日
福岡
1,057円 (992円)
65円
2025年11月16日
沖縄1,023円 (952円)
71円
2025年12月1日
全国加重平均 
1,121円 (1,055円) 
66円 

※カッコ内の数字は改定前の地域別最低賃金となります。
なお、改定額や適用開始日については、異議の申出状況などにより変更される可能性があります。

2025年度の最低賃金の改定は総じて下記のようになりました。

最低賃金の改定のポイント
  • 47都道府県で、63円~82円の引上げ
  • 改定額の全国加重平均額は1,121円(2024年度1,055円)
  • 全国加重平均額66円の引上げは、1978年に目安制度が始まって以降で最高額
  • 最高額(1,226円/東京都)に対する最低額(1,023円/宮崎県)の比率は83.4%

なお、発効(予定)日について、地域ごとにばらつきがあります。
例年10月中の適用が一般的ですが、近年は引き上げ幅が大きい影響で、会社側が賃金体系の見直しなどに時間を要するため、11月以降を発効日とした地域も増加しています。

全国でみると秋田県の2026年3月31日が最も遅い発効日となっています。
発効年月日に勤務した分の賃金から、新しい最低賃金以上の額で給与支払いが必要となります。

最低賃金のチェック方法

最低賃金を下回らないよう、各従業員の現在の賃金が最低賃金以上であるかどうか確認が必要になります。最低賃金は時給で示されているため、各従業員の給与を下記のとおり時給換算のうえ、比較することになります。

時間給の場合
時間給 ≧ 最低賃金額
日給の場合
日給÷1日の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額
月給の場合
月給÷1か月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額

なお、下記の賃金は最低賃金の計算から除外しなくてはならないこととされています。

最低賃金の計算から除外する賃金
  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当および家族手当

最低賃金のチェックを行う際は、上記に当てはまる賃金は除外したうえで、時給換算しなければなりません。

最低賃金の適用

最低賃金は、労働者が実際に働く事業場のある都道府県ごとに適用されます。
そのため、労働者の自宅と勤務地の都道府県が異なる場合には、勤務地のある都道府県の最低賃金を適用する必要があります。

近年はテレワークを行う会社も増えておりますが、テレワークの場合は、テレワークを行う場所の如何にかかわらず、テレワークを行う労働者の属する事業場がある都道府県の最低賃金が適用されます。

実務のポイント

最低賃金の発効日は、1日付や3日付、16日付など地域によって様々です。
会社の賃金計算期間の始期と必ずしも一致しないものと思います。もちろん賃金計算期間の途中から給与改定を行うこともできますが、そうすると残業代の計算を行う際も、給与改定前と改定後で割増賃金の基礎単価が変更されることから、給与計算が煩雑になります。

実務としては、最低賃金の発効日を含む賃金計算期間の始期から、給与改定を行った方が対応しやすいものと思います。

参考URL

厚生労働省『全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました』


エスティワークスが培ってきた労働法令のノウハウと最新の研究成果をぜひご活用いただければ幸いです。ご相談レベルで構いませんので、まずはお気軽にお問合せください↓

関㟢 悠平

この記事を書いた人

関㟢 悠平

平成29年入社 早稲田大学卒 大学卒業後は、ブライダル関連の上場企業でサービス業に従事。その後、エスティワークスに参画。丁寧な業務遂行と持ち前のトーク力で多くのお客様の信頼を得ている。IPO(上場)審査に向けた労務デューデリジェンス (労務DD)を数多く実施、給与計算や社会保険実務にも精通した社労士として活躍中。