労働法改正情報

令和4年11月28日に公布された労働基準法施行規則の一部を改正する省令において、資金移動業者の口座への賃金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることとされました。キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進むなかで、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることを踏まえ、賃金の支払方法が追加されました。この改正は、令和5年4月1日に施行される予定です。
労働基準法では、賃金を通貨にて支払うことと定められております。そのため、通貨以外の方法で賃金を支払う場合には、労使協定を締結する必要があります。
労使協定には、下記の内容を記載する必要があります。
労使協定に記載する内容 |
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デジタル払いを希望する労働者には、下記のような留意事項を説明する必要があります。
デジタル払いを希望する労働者に説明すべき留意事項 |
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これらの留意事項は厚生労働省の提供する同意書の裏面に記載があるため、労働者は記載の内容を確認したうえで、使用者に同意書を提出することとなります。
施行予定は令和5年4月1日となっておりますが、その日からすぐにデジタル払いが開始できるわけではありません。
賃金のデジタル払いを取り扱う資金移動業者は厚生労働省の指定が必要となりますが、その指定申請が令和5年4月1日から行うことができるようになります。
厚生労働省の審査には数か月かかることが見込まれておりますので、実際にデジタル払いを行うことができるのは同年夏頃となる予定です。
賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つとなります。
労働者が希望しない場合は賃金のデジタル払いを選択する必要はなく、また、使用者は希望しない労働者に強制をすることもできません。
なお、労働者の希望があったとしても、デジタル払いで支払うかどうかは使用者が判断できます。
『資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について』
この記事を書いた人
平成29年入社 早稲田大学卒 大学卒業後は、ブライダル関連の上場企業でサービス業に従事。その後、エスティワークスに参画し社会保険労務士の資格を取得。丁寧な業務遂行と持ち前のトーク力で多くのお客様の信頼を得ている。