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労働法改正情報

育児・介護休業法の改正(令和4年4月1日施行)

2022.02.23

育児・介護休業法の改正(令和4年4月1日施行)

【1】概要

・令和4年4月1日から、育児・介護休業法の改正が段階的に施行されます。
・令和4年4月1日施行の改正点は、以下の2点がポイントなってきます。
 ①雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
 ②有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
・今回は改正のポイントと、実務で対応すべきことを厚生労働省のQ&Aを交えながら、解説したいと思います。

【2】法改正のポイント

ポイント① 「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」の義務付け

現行制度には規定がなかった、「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」が義務付けられ、事業主は育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

講じなければいけない措置
1.育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
2.育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
3.自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
4.自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
*産後パパ育休については、令和4年10月1日より対象

ポイント② 「妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置」の義務化

2つ目のポイントは、現行の制度では「妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知」が努力義務となっておりますが、今回の改正で、「個別の周知・意向確認の措置」が義務付けられる点です。
上記の「個別の周知・意向確認」の際の周知事項と方法としては、以下が厚生労働省より示されています。

育児休業制度等に関する周知事項と周知・意向確認の方法
【周知事項】
1.育児休業・産後パパ育休に関する制度
2.育児休業・産後パパ育休の申し出先
3.育児休業給付に関すること
4.労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき 社会保険料の取り扱い
【個別周知 ・ 意向確認の方法】
1.面談
2.書面交付
3.FAX
4.電子メール
等のいずれか
※「1.面談」はオンライン面談も可能。「3.FAX」「4.電子メール」は労働者が希望した場合のみ

ポイント③ 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

3つ目のポイントは、「有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」です。他の改正点と異なり、育児休業にくわえて、介護休業も含まれているのでお気を付けください。
今回の改正では、育児休業・介護休業ともに「(1)引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることが要件から廃止され、以下のように改正されます。

【育児休業の場合】

改正前
(1)引き続き雇用された期間が1年以上である者
(2)1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない
改正後(令和4年4月1日~) 
・1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない

【介護休業の場合】

改正前
(1)引き続き雇用された期間が1年以上である者
(2)介護休業開始予定日から93日経過日から6か月を経過する日までに契約が満了することが明らかでない
改正後(令和4年4月1日~)
・介護休業開始予定日から93日経過日から6か月を経過する日までに契約が満了することが明らかでない

*育児休業・介護休業いずれも無期雇用労働者と同様の取り扱い(引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可)
**育児休業給付、介護休業給付についても同様に緩和

【3】実務のポイント

上記の改正のポイントを踏まえて、育児介護休業規程も改定を行う必要があります。
ここでは、改正点を踏まえた、規程改定のポイント等を紹介します。

ポイント① 「雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置を会社が行うこと」を明記する必要があります。

■「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」の義務付け
以下の2点が措置実施の際の留意事項として指針が示されているので、規定改定の際はご留意ください。
1.短期はもとより1か月以上の長期の休業の取得を希望する労働者が希望するとおりの期間の休業を申出し取得できるように配慮
2.雇用環境の整備の措置を講ずるに当たっては、可能な限り、複数の措置を行うことが望ましい

 ■「妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置」の義務化
注意をしなければならないのは、申出をした従業員に対して育児休業制度の「個別の」周知だけでは十分ではなく、「育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための面談」などを実施しなければいけない点です。
また取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。 

 そして周知事項等には、10月1日より施行される「産後パパ育休」も対象となっております。厚生労働省では「個別周知・意向確認書記載例」として令和4年9月までのものと10月以降のものを用意しています。
上記2例に加えて「好事例」として、10月1日改正分もまとめて対応した記載例が公開されております。先行して対応していきたい場合はこちらを参考にしてください。 

ポイント② 「引き続き雇用された期間が1年未満の労働者」を除外する場合は、2022年4月1日の施行日までに改めて労使協定を締結しなおす必要があります。

有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件について、既に「入社1年未満の社員」が労使協定において除外されている場合であっても、今回の改正にあわせて、同内容にて改めて労使協定を締結しなおす必要がありますのでご注意ください。

厚生労働省のQ&Aでは以下のように詳細が記載されています。

Q.今回の改正で、引き続き雇用された期間が1年未満の有期雇用労働者について、法律上対象外から労使協定除外の対象に変更になりますが、既に締結している労使協定において、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者について有期雇用・無期雇用を問わない形で除外していた場合、労使協定を締結し直さなくとも、改正法の施行後は有期雇用・無期雇用問わず当該労使協定により除外されると解して良いですか。
A.改正前の法第5条第1項ただし書では、引き続き雇用されていた期間が1年未満の有期雇用労働者には育児休業申出の権利が付与されていなかったところ、今回の改正法により、引き続き雇用されていた期間が1年未満の有期雇用労働者についても、育児休業申出の権利が付与されました。
このため、改正法の施行後において、有期雇用労働者も含めて、引き続き雇用されていた期間が1年未満の労働者について、法第6条第 1 項ただし書に基づき当該申出を拒む場合は、そのことについて、改めて労使協定を締結していただく必要があります。

その他にも、厚生労働省が公開しているQ&Aから実務に関わる部分を一部抜粋してご紹介します。

Q.妊娠・出産報告の時に、「育休を取得するつもりはない」「制度周知は不要」と言っていた労働者にも個別周知及び意向確認を行わなければならないのですか?
A.法第21 条は事業主に対して、育児休業に関する制度等の周知及び意向確認の措置を講ずることを義務づけているものですので、労働者が周知や意向確認の措置が不要である旨の意思表示をしていた場合であっても、事業主は、当該労働者に対し措置を講ずることが求められます。
Q.意向確認の措置に対して労働者から「育児休業の取得の意向はない」と回答があった場合、その後に労働者から育児休業申出が行われても、拒むことができるのですか。
A.法第21 条第1項に基づき事業主が労働者に育児休業の意向確認をした際に、労働者が「育児休業の取得の意向はない」旨を示したとしても、労働者は法に基づき育児休業の申出を行うことができ、事業主は適法な労働者の育児休業申出を拒むことはできません。
Q.妊娠・出産等の申出は口頭でよいですか。
A.法令では、申出方法を書面等に限定していないため、事業主において特段の定めがない場合は口頭でも可能です。事業主が申出方法を指定する場合は、申出方法をあらかじめ明らかにしてください。仮に、申出方法を指定する場合、その方法については、申出を行う労働者にとって過重な負担を求めることにならないよう配慮しつつ、適切に定めることが求められますので、例えば、労働者が当該措置の適用を受けることを抑制するような手続を定めることは、認められません。また、仮に、その場合に指定された方法によらない申出があった場合でも、必要な内容が伝わるものである限り、措置を実施する必要があります。

参考URL

 厚生労働省のHPに公開されているQ&Aでは上記個別周知・意向確認に関することのほか、雇用環境整備、出生時育児休業に関する内容も掲載されているので、こちらもご参照ください。
『令和3年改正育児・介護休業法に関する Q&A (令和3年 11 月 30 時点) 』(厚生労働省)

厚生労働省のHPでは規程例も紹介されています。
『育児・介護休業等に関する規則の規定例』

また今後の改正情報などはこちらもご確認ください。
『育児・介護休業法について』(厚生労働省)

関㟢 悠平

この記事を書いた人

関㟢 悠平

平成29年入社 早稲田大学卒 大学卒業後は、ブライダル関連の上場企業でサービス業に従事。その後、エスティワークスに参画し社会保険労務士の資格を取得。丁寧な業務遂行と持ち前のトーク力で多くのお客様の信頼を得ている。